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feminism matters

英語(とたまに韓国語)のクィア・フェミニズム系記事の翻訳の貯蔵庫。

女性にとってチームワークはうまみに欠ける

When Teamwork Doesn’t Work for Women

女性にとってチームワークはうまみに欠ける

 

Justin Wolfers

2016/1/8

 

原文はこちら。 http://www.nytimes.com/2016/01/10/upshot/when-teamwork-doesnt-work-for-women.html?hp&action=click&pgtype=Homepage&clickSource=story-heading&module=mini-moth®ion=top-stories-below&WT.nav=top-stories-below&_r=0

 

[原文のほうにはグラフがあってわかりやすいのでそちらもぜひ御覧ください。]

 

 

経済学が頑固に男性支配的な専門でありつづけている、ということは、経済学者たちがなんとか理解しようと葛藤している事実だ。

 

知の市場は、最良のアイディアが生き残ることを保証するはずだった。つまり、未だに経済学が男性支配的であるというバランスの悪さは、男性の方が女性よりも良いアイディアを持っている場合にしか説明がつかない。そんな説明は女性の経済学者たちを納得させることはないだろう。最近の調査は、女性の声が反映されないのは、市場システムのバイアスのせいだということを裏付けている。男性と協働して仕事をしても、女性は適切に評価されないのだ。

 

少なくとも、現在ハーバードで博論を書き上げようとしているHeather Sarsonsの調査はそう結論づけている。Sarsonsの調査は、チームワークを必要とする他の専門においても、なぜ女性が成功するのに困難に直面するのかを説明してくれる。

 

 

Sarsonsは過去40年間、アメリカのトップの大学にリクルートされた若い経済学者たちの出版の業績を集めた。経済学者にとってのキャリアパスーー他のたいていの学術領域でも似たようなものだがーーはテニュアを中心に回っている。「出版するか消えるか(publish or perish)」の世界だ。なぜなら、一度若い経済学者が雇用されると、彼らは7年の猶予を与えられ、その間に出世して終身の職[テニュア]を得るか、クビになるかのどちらかなのである。Sarsonsの調査は、「グループワークにおける承認のジェンダー差」というワーキングペーパーで見ることができるが、これは経済学者の間で非常に話題になった。

 

経済学の領域では女性も男性と同程度出版の業績があるが、女性は男性の2倍、クビ(perish)になりやすい。この女性がテニュアを否定される割合の高さは、大学のテニュアの女性の割合や、経済学の中でも女性がとりくむ下位領域、女性の出版物の質やその他の影響を考慮しても、そうなのだ。

 

しかしSarsonsは、男性と同様にキャリアで成功している女性の経済学者のグループを見つけた:一人で仕事をする人たちだ。とりわけ、Sarsonsによれば、「業績がすべて単著の女性は、だいたい男性と同程度、テニュアを獲得できるチャンスがあります。」つまり、ジェンダーによる違いは、共同作業における男女の扱いの違いによるものだと言えるのだ。

 

話が興味深くなるのはここからだ。ある女性の経済学者が自力でペーパーを書けば、その功績は誰のものか明らかだ。単著での論文を1本書くと、テニュアを獲得できる確率が8-9%あがるとSarsonsは計算する。単著を出版することによることによるキャリア上の利益は、男性も女性も変わらない。しかし、女性とは異なり、男性は共同作業も十分に功績として評価され、単著の著者でもリサーチチームの一員として書いた共著の著者も、統計的にキャリアの展望に違いはない。

 

不幸にも、女性の場合、共著での業績ははるかに評価されない。女性が共著で出版すると、その出版物のキャリア上の恩恵は男性に与えられるものの半分に満たない。多くの経済調査が共同作業によってなされているので、これは実際にキャリアを大きく左右する。

 

つまり、たとえばジャネットとジョージが一緒に論文を書くと、ジャネットの同僚はジョージがその功績者だと思うわけだ。女性はジュニアパートナーとしてリサーチに参加することが多いことを思えば、これも妥当のように思われるかもしれないが、Sarsonsはそういうわけでもないのだという。

 

Sarsonsは、より詳しく分析し、どんな種類のリサーチチームによって、功績がどのように振り分けられるのかを査定した。男性の場合、共著者が男性であろうと女性であろうと、また両方であろうと、同じだけの功績が認められる。(実際の数字は少し違いもあるが、誤差の範囲である)

 

女性にとってはそうではない。女性が男性と共著で出版しても、テニュアを獲得できる確率はまったく上がらないのだ。つまり、女性は男性との共著の場合、功績が全く認められない。共著者が男女両方の場合、その功績は部分的にしか認められない。共著者が女性である場合のみ、功績がちゃんと認められる。このような違いは、統計的に非常に大きい。

 

これらの数字は、チームによってなされた仕事について誰が功労者とされるべきかというのが曖昧な場合であっても、常に男性が功労者とされるということを示している。

 

そして重要な事だが、Sarsonsが明らかにしたバイアスはあまりにも大きいので、それ自体だけで他の統計についても説明できるほどである。つまり、女性の経済学者は、男性の同僚よりも2倍、テニュアを獲得できず首になりやすい、ということだ。

 

この並外れた発見は、私の経験とも合っている。私が最もよく共同作業をするのは女性だ(Betsey Stevenson, ミシガン大学の公共政策のフォード・スクールの准教授で、私の恋人でもある)。何年も、私は同僚が私に、彼女との共同作業についての功績の「大きな方」を認めてくれることから恩恵を得てきた。ときには、彼らは非常にあからさまだった。しかし、彼らが知らないことを私は知っている。私たちの作業はほんとうの意味でのパートナーシップで、数えられないほど深夜に数字を処理してきた結果である。そして、この功績の誤解は、家族生活の変化を査定するという伝統的に女性的な領域とされる場で私達が研究をしているにもかかわらず、起こっているのである。

 

たくさんの女性経済学者は、単に女性になされたというだけで、自分の研究が真剣に受け止められないという経験を私に教えてくれた。偉大な経済史家のDeirdre McCloskey(イリノイ大学シカゴ校の名誉教授)は、そのキャリアの前半、男性の経済学者Donald McCloskeyとして過ごしてきたために、これらの問題についてユニークな見方を持っている。McCloskeyによると、彼女が何かを主張しても、他の男性の経済学者が支持してくれないと、まともに同僚に受け取ってもらえないという経験は非常にありふれているという。これは、彼女がDonaldだったころにはほとんど起こらなかったことだ。

 

興味深いことに、Sarsonsは社会学の領域のパラレル分析も行っている。経済学と異なり、社会学では、共著について男性と女性の間で功績の分配に大きな違いは見られない。この少し気が楽になる発見の理由の一つとしては、社会学においては、誰が共著において最も功績を認められるべきかというのを、第一著者として明示することにあると考えられる。このように功績が誰にあるのか明確にすることで、推測を働かせる必要がなく、性差別的なジャッジが入る余地をなくすのである。反対に、経済学者は著者をアルファベット順に並べるため、性差別的なステレオタイプが入ってくる曖昧さを生み出している。他の可能性としては、社会学者は、経済学者よりも女性が多く、単により性差別的ではないということもあり得る。

 

私は最近書いたコラムで、ニュースメディアにおいて、女性の共著者よりも男性の経済学者が、功績を認められがちな傾向があることを示した。経済学者が互いの業績を査定する場合にも、同じバイアスがかかっているようなのだ。

 

この複雑な世界を生き残らないければならない若い経済学者であるSarsonsは、自分の研究から教訓を得ている。彼女の論文はこう始まっている。「このペーパーは意図的に、単著です。」この重要な仕事の功績を彼女が十分に認められるようにする唯一の方法がこれだったのだ。

 

 

Justin Wolfers is a professor of economics and public policy at the University of Michigan. Follow him on Twitter at @justinwolfers.

 

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A version of this article appears in print on January 10, 2016, on page BU4 of the New York edition with the headline: When Teamwork Doesn’t Work for Women. Order Reprints| Today's Paper|Subscribe