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feminism matters

英語(とたまに韓国語)のクィア・フェミニズム系記事の翻訳の貯蔵庫。

再生産の正義[Reproductive justice]について話すときは、代理母のことを話す必要がある

リプロダクティヴ・ヘルス

When We Talk Reproductive Justice, We Need to Talk About Surrogate Parents

再生産の正義について話すときは、代理母のことを話す必要がある

 

Helen

2014/8/13

 

[アメリカでも代理母出産についてはいろいろ議論があるという一例として。クィア系女子向けメディアAutostraddleの記事です。]

 

原文はこちら。 http://www.autostraddle.com/when-we-talk-reproductive-justice-we-need-to-talk-about-surrogate-parents-249339/

 

代理母出産[surrogacy]により、多くの人がこれまでとは異なる方法で子どもをもつことができるようになりました。不妊であったり、出産に医学的なリスクが伴う人も、医療の介在なしには子どもを生物学的には出産できないカップルも—これにはクィアのカップルがあてはまるでしょう—代理母出産により、子宮を持っている人に、自分たちの代わりに子どもを産んでもらうことができるのです。1976年、記録されているうえでは初めて、ある結婚したカップルがアメリカで代理母出産契約を結んでから、Organization of Parents Through Surrogacy (OTPS)は全米で約25,000の代理母出産を実現してきました。

 

 

代理母出産には様々な形があります。家族や友人に代理母になってもらうよう頼むカップルもいますが、最近好まれているのはエージェントを使った方法です。代理母出産エージェントは仲介人として、依頼人のカップルと代理母のカップルを引き合わせ、契約を結び、料金を受け渡します。このようなエージェンシーが好まれるのは、第三者が介入することで、親権についての法的問題の調整が容易になるからです。

 

しかし、アメリカの外のエージェントは、自国で生殖補助技術(ART)のために高いコストを支払いたくないとか、ARTの法的制限を避けるために外国に目をつけるアメリカ人に、貧しい女性や有色人種の女性の代理母を引き合わせることで、利益を得ています。タイ、ウクライナ、メキシコ、インドといった国では、代理母出産エージェンシーがアメリカの法的規則の抜け道を使い、再生産ビジネスで儲けています。たとえば、あるインドのエージェンシーは年間4億4500万ドル規模の事業になっています。アメリカでは7万ドル必要なところを、インドのエージェンシーに1万2千ドル払ってすませたいという外国人向けの商売です。アメリカ人の代理母は経過によって3万から4万ドルを受け取るところ、代理母として雇われた有色人種の女性たちは5000から7000ドルを受け取ることになります。貧しい国出身の代理母にとって、一人の子供を出産して得られる5000から7000ドルは、しばしば地元での仕事の年収を超えます。依頼人のカップルと良好な関係を保っている人たちもいますが、残念ながら、全てのエージェンシーや依頼人のカップルが代理母のカップルを、彼女たちが受けてしかるべき配慮と尊敬をもって扱うわけではありません。さらに、こういったビジネスはしっかり規制されていないため、代理母の権利は守られているとはいえません。

 

最近、カリフォルニアをベースとする医療ツーリズム会社であるPlanet Hospitalは、代理母カップルを雇うために海外に行きたいというアメリカ人の依頼人を騙していたことで非難を受けました。Planet Hospitalの代理母出産サービスは、アメリカ人の依頼人をインド、タイ、そしてメキシコの代理母と引き合わせると謳っていましたが、人の金を奪って逃げたのです。ニューヨーク・タイムズ誌の記事は、Planet Hospitalの巧妙な詐欺に心を痛めるカップルや、憤る従業員にフォーカスし、代理母の側の人々の経験については最後に付け足して言及しただけでした。何千ドルものお金を失うのはあんまりなことだったでしょうが、人の健康こそが優先されるべきです。エージェンシーが代理母の健康を軽視した事実、たとえば彼らが、子宮の嚢腫を前日に取り除いたばかりの18歳の女性に胚の移植をするのを許可したこと(そしてPlanet Hospitalのスキャンダルについての議論において代理母の苦しみが前面に出て語られないこと)は、国際的なARTビジネスに雇用されるとりわけ有色人種の女性の健康は、必ずしも大事にされていないということを示唆しています。

 

タイでは、代理出産エージェンシーに関する多くの問題により、商業的な代理母出産の禁止が議論されるようになりました。商業的な代理母出産はタイの医療評議会の規則違反になっているものの、規制は医者と医療機関に適応されるのみであるという抜け道があり、これをエージェンシーは利用してきました。8月のはじめ、21歳のタイ人の代理母Pattaramon Janbuaはオーストラリア人のカップルの依頼で出産しましたが、このカップルは、彼女が産んだ子供がダウン症と診断されると、病気のなかった双子だけを引き取って姿を消し、子どもを捨てたという疑いがかけられた事件がタイの政府の関心を引きました。さらに悪いことに、このオーストラリア人の父親は小児性愛で起訴された経歴があり、オーストラリアの政府はそのカップルとカップルに連れられた双子をまだ見つけることができていないというのです。このスキャンダルの直後、日本人のビジネスマンがエージェンシーを通じて9人の子どもの父親になったものの、その養育をバンコクの乳母に押し付けて去ったという事件もありました。

 

タイの当局は8月6日に「代理母出産を禁止する法律の草案が暫定政権のLegal and Justice Affairs[法務局?]に提出されており、来週、新しく作られた暫定議会に上奏される」と発表しました。タイの社会開発・人間安全保障省大臣のRarinthip Siroratは、商業的な代理母出産の禁止は「代理出産で生まれた子ども」の福祉を最大化するよう設計されると語りましたが、無責任な依頼人カップルや後ろ暗い代理出産エージェンシーによって一生を左右されかねないJanbuaのような代理母を保護しようとしていないのは問題です。もちろん、上述のケースは極端な話かもしれず、代理出産についてネガティヴな経験をしたアメリカの人と同じぐらい、代理母として良い経験をしている人も世界にはいます。しかし、国際的な代理出産が、有色人種の女性を危険に晒す潜在的な力を無視できません。西欧諸国が法の規制を強めたため、人口の多数派が黒人やブラウンの人々である国での代理出産は増えています。西洋の人々は法の抜け道を使ってエージェンシーと取り決めをし、必ずしも自分の権利を守るためのエージェンシーを持っているわけではない貧しい人から利益を得ることが可能になっています。このような再生産についての取り決めの問題に光が当たるのは、白人のカップルや白人の赤ちゃんが被害を受けたときばかりです。

 

代理出産は、birth control testing[産児調整テスト?]、強制避妊手術、国家による中絶の取り締まりといった、白人や中・上流階級の人々の利益のために、とりわけ有色人種の女性や貧しい人々をターゲットとする再生産技術の仲間入りをしています。再生産の正義[Reproductive justice]は、妊娠しないことや妊娠を終わらせることを選ぶ権利だけでなく、差別の恐れなく子どもを産める権利を含みます。これらの事例が示唆しているのは、代理出産自体が必ずしも悪いわけではなくとも、規制の欠如によって代理母のカップルの権利がリスクに晒されているということです。代理母のカップルが、透明性のある代理出産についての取り決めへの権利と、彼らの健康や金銭的補償を守るエージェンシーを持つことができるようにするべきです。私たちが再生産の正義のためにたたかうとき、生殖補助技術が世界中の黒人やブラウンの人たちを搾取するもう一つのシステムになってしまわないよう、代理出産の安全も訴えていきましょう。