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なぜ「男性の性欲は常に満たされるべきである」という思い込みは誰も幸せにしないのか

How Male Sexual Entitlement Hurts Everyone

なぜ「男性の性欲は常に満たされるべきである」という思い込みは誰も幸せにしないのか

 

2013/1/16

Jarune Uwujaren

 

原文はこちら。 http://everydayfeminism.com/2013/01/male-sexual-entitlement-hurts-everyone/

 

 

男性には、彼が男性であるという理由に基づいて、セックスが与えられるべきだと信じる考えを、「男性の性欲が常に満たしてもらえる権利」[male sexual entitlement]と呼びます。私たちの社会はこの考えを当然のこととして広めており、セックスについてのカジュアルな会話の中にさえ、この考えは埋め込まれています。たとえば、男は「いい人」すぎると「セックスの対象外にさせられ」るとか、女はセックスを「させて」、男は女を「ヤる」とか。

 

でも本当は、セックスを享受する権利なんて誰も持っていません。良い人だろうと、傲慢だろうと、策略家だろうと、魅力的な人だろうとそんなもの持っていないし、ましてや男であるというだけで自分は女とセックスする資格があると思うのは間違いです。

 

レイプ・カルチャー(ある状況下では合意のないセックスもOKという態度)をなくすためには、いかに「男性の性欲が常に満たされる権利」という思い込みが男性を含む全ての人に悪い影響をあたえるのかを理解する必要があります。

 

 

 

なぜ「性欲が常に満たされる権利」なんてものがあると思うのか?

 

私たちはそれを当然のものだと思い込んでいます。女性のオーガズムについては考慮しないのが普通、見た目で女性の身体をジャッジするのも普通、女性が男と寝て「あげる」のも普通だと。ボンド映画で誰とでもすぐセックスするボンドという男が理想化される一方、女性が同じことをすれば淫売と呼ばれるのも、「男性の」性欲は常に満たされるべきという思い込みがあるからです。男性の性欲が満たされることに過剰に価値を置くあらゆる行為が、男性の性欲は常に満たされるべきで、男性はその資格を持っているという思い込みを強化するのです。

 

個別に見れば、それぞれはありきたりな害のない振る舞いに見えるかもしれませんが、その背後には、男性のセクシュアリティを過剰に重んじつつ、女性のセクシュアリティは男性の快楽のために存在するとする、より大きな文化の問題があるのです。そこでは、女性の性的快楽、女性の合意は考慮されません。

 

あなた個人は、自分は女性の身体を好きにする権利なんて持っていないと思っていたとしても、うっかりそのような考えのもと振る舞ってしまっている可能性はあります。実際、「男性の性欲は常に満たされるべき」という思い込みは広くこの社会に浸透しているため、どんなに女性の意見をちゃんと聞こうとする男性でも、そのような勘違いに基づく振る舞いをしないようにするのは難しいことです。「意識の高い」男性は、自分が女性の気持ちにちゃんと寄り添っていれば、そんな振る舞いをしないですむと思っているかもしれません。でもそうとは限りません。女性を傷つけないようにと振舞っていても、「男性の性欲は常に満たされるべき」という思い込みを結果的に強化してしまうことがある、というのがわからない人はいます。たとえば、女性のイシューに敏感であれば、女性とデートしやすくなると思うとか。これは邪な動機のためにではなく、女性のイシューを考え、取り組む人とは対照的です。

 

 

どこで「男性の性欲は常に満たしてもらえる権利」があるという思い込みが顔を出すのか

 

こういう思い込みが顔を出すいくつかの場面(全てではありません)を挙げてみましょう。

 

パートナーにセックスを強要するとき:女性がそうしたいかどうかとは無関係に、恋人や妻にはパートナーとセックスする義務があると考える人がいます。実際、婚姻関係におけるレイプが50州全てで違法になったのはようやく1993年のことでした。

 

職場におけるセクハラ:セクハラについての裁判をメディアが報じるとき、職場という環境で彼女の安全を脅かした男性には目もくれず、彼女は「あんな格好をして男を誘っていた」とか「調子に乗っている」という人がいます。

 

見知らぬ人から:クラブで女性に痴漢したり、歩いている女性にセクハラ発言をぶつける人。「いいケツしてるね」なんていう下劣で不毛なものであっても、容姿を「ほめられた」のだから光栄に思うべきと思っている人。

 

こういう人たちは、女性の身体をまなざし、コメントし、評価し、使う権利があるという前提で振舞っているのです。

 

 

いかに「男性の性欲が常に満たしてもらえる権利」があるという思い込みが女性を傷つけるか

 

男性の性欲は常に満たされるべきだと思っている男性は、しばしば、女性に色目を使っても嫌がられるはずはなく、職場でセックスに誘っても、勝手に体に触っても良いと思っており、極端な場合には、地下鉄で精子をかけても構わないと考え(そして罪にも問われず)、被害を受けた女性が彼をそそのかしたと非難さえします。

 

セクハラ、痴漢、ストーカー、slut-shaming[セックスに積極的な女性を蔑むこと]は「男性の性欲は常に満たされるべき」という思い込みの産物であり、女性に直接影響を与えます。この考えを心底信じきっている男性は、彼らが女性に関心を向けたり、挑発したとき、もしくは彼がそこにいるという理由だけで、女性は彼らに性的な計らいをするべきだと信じているのです。

 

それほど極端でなくても、女性に親切にしたり、話をよく聞いてくれる友達の役割を演じれば、彼女は自分にセックスさせるべきと信じている男性はいます。こういう男を私は「いい」人だと言います。少なくとも、街で失礼なセクハラ発言を投げつけてきたりする「他の男達とは違う」という意味で。良い人として振る舞った対価としてセックスさせるべきと思っている人たちは、自分が振られた時には、女は自分をゴミのように扱う「悪い」男のほうが好きなんだと文句を言います。

 

あからさまに質が悪い嫌なやつではないということが、良い人であることと同義だと思っているという意味で、彼らも自分の性欲は満たされるべきだという前提で振舞っているのです。現実には、あなたがただ見返り(この場合はセックス)のためだけにまともな人間として振舞っているなら、あなたは自分が欲しいもののためにまともな人間の「ふり」をしているだけなのです。

 

「俺って良いやつだろ、だから、な?」という態度でデートを迫る男性は、露骨なハラスメントをしてくる人よりは暴力的ではないかもしれませんが、結局、女性は自分がそうしたいかどうかに関係なく、男性にセックスさせるべきなのだという考えを強化していることに変わりはありません。

 

覚えておいてください。セックスは親切やレディ・ファーストの見返りにあるのではありません。セックスをするのは、互いがそうしたいと思ったときです。簡単なことです。

 

 

いかに「男性の性欲は常に満たされるべき」という思い込みが男性を傷つけるのか

 

「男性の性欲は常に満たされるべき」という思い込みで負の影響を受けるのは女性だけではありません。男性と寝る男性もまた、相手の男性に対してそのように振る舞うことがあります。

 

さらに、「男性の性欲は常に満たされるべき」という思い込みは、その勘違いをしている人自身にも悪影響を与えます。結局そんな権利なんて幻想でしかなく、幻想に従って行動してもいいことなんてありません。この幻想のもとでは、もし女性にセックスを拒否されたら、それが彼のエゴを傷つける大事件になります。自分が当然持っていると思っていた権利を否定された時、どのように反応するべきなのか、彼らは自分で選ばないといけません。

 

大抵の男性は、自分がほしい物を手に入れられなくても(セックスに限らずこういうことは生きていればいくらでもあります)しょうがないということを学びます。最初は彼女に気があったとしても、彼女の方にその気がないなら、ただの友達として良い関係をもつこともできる人もいます。女性もまた男性に振られるのが怖いのは同じだし、男性が「自分の性欲は満たされるべきだ」と思い込んで振る舞えば、女性たちは「レイプされるかもしれない」という恐れを抱くかもしれない、ということを理解している男性もいます。

 

でもセックスを拒否された時どう反応していいかわからないときに、レイプ・カルチャーを補強してしまう人がいます。自分にセックスさせない女性に怒って、非難して、自分が傷ついていないと見せるために女性嫌悪に走るのです。

 

「男性の性欲が常に満たしてもらえる権利」があると勘違いしている人全員が、レイプも問題ないと考えているとか、怒り狂った女性差別主義者に自ら進んでなっているとか言っているわけではありません。自分が他人に対してどんな態度をとるかについては自分がまず責任をもつべきですが、彼らがそういう勘違いをするようになったのも、女性の身体は消費のためのモノであるというイメージを彼らにずっと浴びせ続けてきた社会に生きてきたからなのです。

 

だから、私たちは、自分が欲しいものが手に入らないときにどう振る舞うのかについて自分で責任をもって選ぶよう彼らに促しながら、その背後にあるレイプ・カルチャーの問題に取り組み、好きな女性と関わる他の方法を示すことにも注力すべきです。

 

 

「男性の性欲は常に満たされるべき」という思い込みを避けるためにどうすべきなのか?

 

自分の行動を振り返ってください。何らかの理由で(たとえばまともな人間であったという理由で)自分はある女性とセックスする資格があると思ったなら、それはあなたが自分の「性欲は満たされるべき」と考えているからです。

 

また、セックスにおける女性の役割は受け身のみと考えるのもやめてください。伝統的に女性は性欲がないとか、そのセクシュアリティは不可思議なものとかステレオタイプ的に描かれてきましたが、女性もオーガズムに達することができるし、セックスしたい気分になることもあるし、性的ファンタジーも持っています。

 

だからコミュニケーションが大事なのです。とくに、パートナーや、あなたが好きだなと思っている人とのコミュニケーションです。その中で、互いを尊重し、自分の欲望を満たせと相手に要求を押し付けるのではなく、自分が相手になにを欲しているのか伝えることのできる空間が生まれます。

 

「男性の性欲は常に満たされるべき」という思い込みはあまりにもありきたりで、女性を尊重したいと思っている男性でも、それに加担してしまうことがあります。女性も、そのような考え方を黙って受け入れたり、または積極的に乗っかることで、補強する方向に振る舞ってしまうこともあります。この問題については、男性も女性も自分の振る舞いを振り返って見る必要があります。

 

自分が、もしくは自分の知っている人が、自分の「性欲は常に満たされるべき」と思い込んでいると気がついたら、それは男性も女性も両方を傷つけるということを思い出し、自分は本当にそのように振る舞いたいのかと自分自身に問うてみてください。

 

 

Jarune Uwujaren is a Contributing Writer for Everyday Feminism. A Nigerian-American recent graduate who’s stumbling towards a career in writing, Jarune can currently be found drifting around the DC metro area with a phone or a laptop nearby. When not writing for fun or profit, Jarune enjoys food, fresh air, good books, drawing, poetry, and sci-fi.