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feminism matters

英語(とたまに韓国語)のクィア・フェミニズム系記事の翻訳の貯蔵庫。

スナップ・ジャッジメント:リベンジポルノとセックスワークの間

セックスワーク 性暴力

 Snap Judgment: In Between Revenge Porn and Sex Work

スナップ・ジャッジメント:リベンジポルノとセックスワークの間

 

Sarah Jeong

2015/12/2

 

原文はこちら。https://bitchmedia.org/article/snap-judgment-revenge-porn

 

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リベンジポルノは普通、このような物語にそって定義されます:女の子が男の子と出会い、彼と付き合い、男の子にヌードの写真をあげることに合意する。その後、彼女が彼と別れたあと、彼はモンスターに変身し、彼女の写真をインターネットにアップする。

 

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このような話に当てはまるケースもありますが、大半はそうではありません。「リベンジ」という言葉は、最初になされた攻撃に対する個人的な仕返しを意味しますが、リベンジポルノの犠牲者はそのような仕返しを受けるようなことは何もしておらず、それに対する「罰」も個人的といえる範囲を逸脱しています。反リベンジポルノの運動家であるCharlotte Lawsが非公式にIsAnyoneUpドットコム(Hunter Mooreによって作られた写真共有サイトで、いまやリベンジポルノといったらこのサイトと同義になりました)を調べたとき、Lawsは多くの写真はもともとコンピューターのハッキングによって流出したものと明らかにしました。(実際、カリフォルニア州の司法長官のKamala Harrisは、後にMooreを数あるうちの中からコンピューターハッキングの罪で裁く予定です。)

 

「ポルノ」という言葉も適切ではありません。リベンジポルノは欲望とか刺激のためのものではないからです。リベンジポルノは辱めとか、高慢な女の鼻柱を折るためのものであるのだと、リベンジポルノの熱烈な愛好者の数人が私に教えてくれました—私のヌードをリークしろと要求する合間に。

 

ではどこから「リベンジポルノ」という単語はやってきたのでしょうか?少なくとも2000年に特筆すべき事件がありました。悪質なスパムを送りつける女性がハッキングされ、彼女と彼女のいかがわしいビジネスを辱めるために彼女の写真がインターネットにアップされたのです。しかし、「リベンジポルノ」という言葉はこの時使われていませんでした。(この事件より前に他にも事件がありましたが、確認中です。)いわゆるリベンジポルノの王道サイト[IsAnyoneUpドットコム]でさえ、この単語をあまり使いません。Mooreは、ツイッターで自分がリベンジポルノという言葉を「作った」と自慢していましたが、この言葉がメインストリームの関心を得るようになったのはかなり後のことです。

 

このフレーズは2012年ごろ流行り始めました。End Revenge Pornといったアドボカシー団体やイニシアチブが作られ、Google Trendsを見ても同時期にこの言葉への関心が飛躍的に高まったことがわかります。しかしこのフレーズは、最初に紹介したリベンジポルノの原型となる物語とともに、クラウドソーシングのスラング・サイトUrban Dictionaryに追加された2007年には使われるようになっていました。同時期、他の場所では「リベンジポルノ」は元恋人に嫌がらせをする事例や、給料をもらっている俳優が元恋人の役を演じ、嫌がらせをする設定のポルノジャンルを指す言葉としても使われていました。

 

犯罪としてのリベンジポルノが最初に登場し、その後、趣味の悪いパロディのポルノが出てきたーーと考えることもできるでしょう。しかし、「リベンジ」もののポルノ専用サイト、リベンジポルノ・ドットネットが開設されたのはUrban Dictionaryにリベンジポルノの定義がアップされる一週間前です。リベンジポルノという概念の誕生した時から、商業ポルノがその後ろに(もしくはその前に?)不気味なドッペルゲンガーとしてつきまとっているのです。

 

リベンジポルノとセックスワークの交わる地点について話したがる人はほとんどいません。「リベンジポルノはポルノではないから」というのはそれに対する手っ取り早い答えでしょう。実際、リベンジポルノ法を通過させた多くの州は、リベンジポルノは定義上、ポルノではありえないとし、商業ポルノを法律から除外しています。リベンジポルノとその拡散を犯罪とする法律の語彙は、「プライベートであるはずのもの」という言葉を使うもの、その対象となった人がその罪を犯した人の家族、親戚、恋人である場合のみと限定する条項をもつもの、「公または商業的な場での自発的な露出」を明示して除外するものまで様々です。

 

ポルノ業界はどこよりも素晴らしい業界というわけではありませんが、それでも事務仕事、書類、肖像権使用許諾書、合意を前提として動く業界です。合意がなければ、ポルノは犯罪の証拠にしかなりません。ポルノとリベンジポルノは互いに別世界の話なのです。

 

それでも、リベンジポルノという言葉が商業ポルノにちなんで名付けられており、リベンジポルノへの怒りもセックスワークの影の中にあります。リベンジポルノは単なる信頼の裏切りやおそろしいプライバシー侵害ではないのです。リベンジポルノが有害とされるのは、上品な女性がセックスワークに無理やり陥れられるという架空の想定があるからです。

 

リベンジポルノがもたらす衝撃と失望は、ほかのプライベートなやりとり—メール、音声ファイル、データなどーが公にされたときのものとは違います。メールでの会話も写真と同様、評判を傷つける可能性がありますが、同じように警戒されて議論されることは稀です。反リベンジポルノの運動家たちも、それがセックスに関連するものであっても、あらゆる種類のプライベートのやりとりを暴露することを犯罪化しろとは言いません。

 

自分の評判を完全にコントロールするために法に頼ることはできず、それにはそれなりの理由があります。腐敗や不正は大抵いつも、その人の合意なく暴かれるものだからです。だから、リベンジポルノ反対運動は「ヌード」を問題視する線で論陣を張ります。

 

つまり、裸の身体—そして犠牲者が女性に偏っていることを踏まえれば、とくに裸の女性の身体—が、他のデータの流出よりもリベンジポルノに重大で例外的な地位を与えるのです。ヌードが爆弾に、毒薬になり、そしてそれに触れた全ての人が起訴される可能性を生みます。リベンジポルノを取り締まる法律は、それ自体はプライバシーについて語っていますが、常に問題にしているのは性器のことなのです。

 

反リベンジポルノのレトリックからは、セックスワーカー自身が消されます。リベンジポルノへの対処方法—写真をネットで公開することの犯罪化と、それに利用された第三者のウェブサイトの法的責任—は、リベンジポルノの犠牲者に影響を与えている、セックスワークのスティグマに触れるものではありません。ある女性の名前をグーグルで検索して、ヌード写真や偽物のポルノ広告が大量に出てきたら、彼女が就職することは難しくなるでしょう—セックスワーカーに間違えられる可能性があるからです。この問題への対策は、そのような勘違いが起こる可能性を排除することなのだと私たちは考えているわけです。セックスワーカーが他の仕事に就職する障害を取り除くことではなく。

 

女性のプライバシー、合意、経済的損失や評判へのダメージについて私たちは語りますが、セックスワーカーが身バレしたときのことについては語りません。警察は「手入れ」の際にセックスワーカーの写真をソーシャルメディアにポストするぞと脅したりするにもかかわらず、新しい法律や警察との協力を提案しています。彼女たちはインターネット上にヌード写真があるゆえに、他の仕事から閉めだされている女性たちです。彼女たちは、彼女たちがセックスワーカーであるという理由で、公に侮辱されている女性たちです。

 

セックスワーカーは、リベンジポルノの原型となる神話にあてはまりませんが、それは他のリベンジポルノの犠牲者も同じです。セックスワークの存在はリベンジポルノの定義、その害はいったい何なのか、そして犠牲者をどう適切に救済するのかについての難しい問いを生じさせるがゆえに、セックスワーカーは物語から取り残されるのです。

 

リベンジポルノとセックスワークのつながりを否定するという誘惑があります。そして実際、リベンジポルノはセックスワークではないのです。しかし、リベンジポルノはなぜこんなにも良心を傷めつけるのでしょうか?不適切であるにもかかわらず、「リベンジポルノ」という名前を使い続けるのはなぜなのでしょうか?

 

悪質なセックスワークへのスティグマがその根本にあるのです。誰かのプライベートな写真をポストするのは悪いことです。彼女の写真を使ってニセのポルノ広告を作るのも悪いことです。彼女の意思に反して、彼女をセックスワーカーだと名指すのも—彼女が実際にセックスワーカーであるかどうかにかかわらずー悪いことです。でも、もっと最悪なのは、セックスワークとのつながりを仄めかすことが彼女への攻撃に使われることです。

 

この問題に取り組もうとするなら、リベンジポルノを超えて多くのミソジニーに取り組む必要が出てきます。しかし、それを無視することは、リベンジポルノの犠牲者は上品な女性だけで、その他の「そんなに上品ではない」人たちは消去され続けてしまうことになります。

 

 

by Sarah Jeong

 

Sarah Jeong is a journalist who was trained as a lawyer. She is a contributing editor at Vice Motherboard who writes about technology, policy, and law. She is the author of The Internet of Garbage, and has bylines at The Verge, Forbes, The Guardian, Slate, and WIRED.