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ジェンダーバイアスを問題視し、州の政治家たちが「タンポン税」の廃止にむけて動く

Citing Gender Bias, State Lawmakers Move To Eliminate 'Tampon Tax'

ジェンダーバイアスを問題視し、州の政治家たちが「タンポン税」の廃止にむけて動く

 

原文はこちら。http://www.npr.org/2016/03/06/467377295/citing-gender-bias-state-lawmakers-move-to-eliminate-tampon-tax

 

2016/3/6

Jordan Gass-Poore'

 

ウィスコンシンでは、勃起不全の治療薬は消費税が免除されます。しかし、女性の衛生用品はされません。ウィスコンシンでは、バイアグラには消費税が適応されない一方、タンポンとナプキンには適応されるのです。バース・コントロール、薬用のコンドーム、カンジタ症の薬は、医薬品として分類されるので、免除を受けます。

ウィスコンシンのある政治家は、女性がオープンに生理について語ることを妨げる生理にまつわるタブーが、女性たちが生理用品のために余計にお金を払うことになる理由の一つだと言います。

「女性の健康は歴史においてつねに、誤解され、無視されてきました。」Melissa Sargent議員(マディソン選出の民主党議員)はNPRに語りました。「生理を恥と考えている女性もいます」といい、これについて話すのを避けることが、立法過程においてこの問題が注目を集めてこなかった原因であると言います。これが、彼女が、女性の衛生用品への消費税免除を求める法案のスポンサーになった理由です。Sargentの働きかけは、体の仕組みのせいで女性が不利益を被ると感じる原因となる、タンポンとナプキンへの消費税の廃止をもとめる全米規模の運動の一部です。議論は新しいものではありませんが、Sargentのような人々の主張に、支持の波が生まれつつあります。5つの州(ミネソタ(1981), ペンシルヴェニア(1991), ニュージャージー(2005))がすでに税をとりさげています。しかし、税は単に差別によってのみ課されているのではなく、この問題を性差別の問題として取り上げるのは、州の税法のニュアンスと矛盾を無視するという政治家もいます。全ての女性が女性の衛生用品へ税を支払わないですむようにするためには、50州すべてがタンポンとナプキンへの税を取り払わなければならないでしょう。

 

「タンポン税」は公平なのか?

今年、主に女性の政治家により、5つの新しい法案が提案され、審議にかけられています。ウィスコンシンの法案が通過すれば、ウィスコンシンは女性の衛生用品に課税しない11番目の州になる見込みです。現在、女性衛生用品の消費税を免除する州が5つあり、そもそも消費税をもたない州が5つあります。ゆえに、残りの40州とコロンビア特別区が、まだタンポンとナプキンに課税している州ということになります。

ウィスコンシンとともに、シカゴ、ユタ、オハイオ、カリフォルニア、ニューヨーク、ミシガン、コネチカットが、生理を「病気」としたり、生理用品を不公平にも「贅沢品」とみなして課税することに反対し、類似した法案を審議しています。ユタの法案は却下されましたが、ニューヨークとコネチカットは諦めずもう一度法案を提出しました。ミシガンでは、法案は州の税制政策委員会にかけられましたが、まだ審議の日程は決まっていません。

そもそも消費税とは何なのか?簡単な定義があります:ものやサービスを購入したときにかかる、政府によって査定される税。しかし、それだけでは十分ではありません。他の国と違い、アメリカは何がどのように課税されるかについての決定を州に委ねているからです。課税の方法は画一化されていません。消費税をそもそも課さない州があったり、州と市政レベル両方で課す州もあります。そして、大多数の州でタンポンとナプキンに税が課されることになったのです。州と市レベル両方で消費税を課す場合も、2つの州をのぞき、税基盤は同じであり、つまり州と市が同じものとサービスに同じ方法で課税しており、税の行き先だけが分かれ、一部が州ではなく市に向かいます。生理用品に課税している40州(とコロンビア特別区)のうち、右派よりの税政策シンクタンクのTax Foundationによると、税率は2.9から7.5%まで幅があり、独自に課税しているローカルな政府もあるとのことです。これらは、消費税免除対象ではないものやサービスを購入する度に課されるのだとTax Foundationの州税政策センターのエコノミストであるNicole Kaedingは言います。たとえば、シカゴは1月、タンポンとナプキンに対し、1%税率を上げ、州とローカル合わせて10.25%の消費税を課すことになり、これはアメリカの大都市でも最も高い税率です。消費税は、政治家たちが免除対象だと指定するまで、あらゆるものとサービスに課されるとKeadingはいいます。誤解を避けるためにいうと、たとえばアルコール税やタバコ税のような、タンポンに特化した税制があるというわけではなく、タンポンに特別に余分な税が課されているというわけでもありません。女性の衛生用品が課税の対象になっている場合、それらは他のものと同じく、消費税の対象になっていると言います。「積極的にタンポンに課税しようとしているというわけではないのです。」Kaedingは言います。「私たちはあらゆるものに課税しています。タンポンはその一例でしかありません。」

こういった理由で、州はタンポンやナプキンを「女性衛生」用品とし、「人間の病気や疾患を、内服・外用にかかわらず、診断、治療、緩和、予防のために使われるもの」(ニューヨークの税法より)ではないという理由で、消費税の課税免除対象にはしてきませんでした。他の州の税法も、医療品や薬について類似の定義を持っています。タンポンは連邦の食品医薬品局によって「医療用品」とされています。1970年代に、数多くのトキシック・ショック・シンドローム(タンポンの誤用によって生じる黄色ブドウ球菌の産生する毒素が原因で起こる急性疾患)の事例が多数報告された後、このように分類されました。

しかし、Greta Johnson議員(オハイオ州の民主党議員)にとっては、この定義は役に立ちません。彼女にとって、生理は「病気や疾患」ではないからです。「タンポンやナプキンは医療的に必需品です」とJohnsonは言います。オハイオ州の税法はそうはみなしていません。イースト菌や尿路感染の治療薬は、乳房移植、避妊具、バース/コントロールのための商品同様、消費税を免除されているにもかかわらず、です。税が悪いと言っているのではありません、と生理と衛生問題の活動家でライターのJennifer Weiss-Wolfは言います。問題は、議員の多くが、男性であるがゆえにタンポンもナプキンも買ったことがなく、この税がもつ財政的な意味について単に理解していないことだと。

 

たいした金額ではない?

オハイオ州の法案の支持は、Johnsonに言わせれば、「よくて中途半端」でした。多くの議員たちが、これは女性たちにとって大した金額ではないと思っているからです。タンポンやナプキンの消費税によるオハイオ州の歳入は少ないかもしれませんが、女性が衛生用品を購入するのに毎年、そして長年にわたって費やす金額は大きな額になります。「タンポン税」は1箱につき66セント上乗せされる程度ですが、女性が一生涯にかけてそれを払い続けるのです。人口の半分が何十年も生理を経験している(ゆえに税金を払っている)ことを考えれば、非常に多くの金額を、人口の多数が負担していることになります。

マーケット・リサーチ会社Euromonitor Internationalによる最近の調査で、12から54歳のアメリカ人女性は、昨年、タンポンとナプキンに平均で17.60ドル支出したということがわかっています。70%のアメリカ人女性がタンポンを利用します。タンポンは、36個入りでだいたい7ドル程度で、女性の生理は平均で12から50歳まで続きます。つまり、女性は生涯に450回程度、生理になるわけです。数字だけ見ると、タンポンやナプキンへの消費税は重要な収入源であるように見えますが、消費税免除の支持者は、その影響は小さく、消費税免除にするのも容易であるといいます。たとえば、カリフォルニアが女性の衛生用品にたいする7.5%の消費税を廃止したとすると、州の歳入にとって2000万ドルの損失になりますが、これをカリフォルニア州知事のJerry Brownが提案した2016-2017年度の州予算1700億ドルと比べてみればいいのです。「これらの商品への消費税は、行政府の予算のサイズに比べれば、大した量ではありません」とWeiss-Wolfは言います。

しかし、ことはそんなに簡単でもないとTax FoundationのKaedingは言います。「タンポン税」反対派の言い分は、いかに州税が機能しているかを無視しているとKeadingは考えています。ある商品を特定し、消費税を免除すると、それ以外の商品への税率が、埋め合わせのために上昇することになり、そうすることで結果、他の利害関係者に、消費税の免除を求めてロビーングをするインセンティヴを与えることになるというのです。分類方法という問題も事態をややこしくします。政治家がある商品の消費税を免除する法案を通過させるとき、そのカテゴリー下にある商品について説明しなくてはなりません。「それはあっという間に、とても、とても複雑なことになります。」たとえばミネソタは、女性の衛生用品を消費税の課税対象から免除し、税法でそのカテゴリーにあてはまる商品(タンポン、生理用ナプキン、パンティライナー)を特定しています。しかし、使い捨てビデ、ワイプ、デリケートゾーン用ボディウォッシュなどが除外されています。

「タンポン税」反対派の一部には、「必需品」には課税するなという議論があります。そういう人たちにとって、「タンポン税」は家父長的特権についての話というよりは、タンポンやナプキンも食料品と同じく必需品であることを認めろという話です。この運動に反対する側は、一方のジェンダーの人々によってのみ使用される衛生用品は、消費税免除の対象にするべきではないといいます。州の税法の改革が必要になるし、タンポンについては消費税の課税対象から外しているマサチューセッツのような州も、妊娠検査薬は免除していなかったり、その分類は容易ではないからです。

 

「タンポン税」の知られざるグローバル・ヒストリー

生理は病気や疾病と分類されるべきではないという政治家は、ジェンダー平等をその理由としてあげますが、それはナプキンやタンポンのメーカーであるキンバリークラークやP&Gといったアメリカベースのグローバル企業の利益でもあります。(両社は「タンポン税」についての立場を公にはしていません。)しかし、Weiss-Wolfは、タンポン税反対運動は「市民による運動」であり、企業や団体の利益に影響を受けていないといいます。

運動は盛り上がりを見せています。1月、オバマ大統領はYoutubeでのインタビューで、このような税が存在するのは、単に税法を作ったのが男性であるためであると述べました。世界中でなされている署名活動でも、タンポンやナプキンを必需品として再定義するというゴールに向けて、同様の議論がなされています。あらゆる国で、女性と少女は、買わないという選択肢がない商品のために、政府に余分に税金を払うことになるのだと。オーストラリアやイギリス(それぞれタンポンやナプキン一箱につき10%と5%の消費税を課税)でも消費税免除をもとめる運動が起こりました。何年にもわたる運動の末、カナダも昨年夏に税を免除するにいたりました。国連もこの動きに加わろうとしています。2013年、国連は生理についての衛生問題は、公衆衛生の問題であり、人権課題であると宣言しています。

かつて、そう昔でもない時代、シカゴの女性たちが、女性の衛生用品に対する市税に対してクラスアクションを起こし、勝訴しました。1989年、Anne Burkeとその弁護士Sidney Karasikは、市がこれらの商品に違法に課税していると訴えました。今やイリノイ州の最高裁判事となったBurkeとKarasikは、これらの商品への課税は間違っており、州から払い戻しがなされるべきだと信じました。Loyola Consumer Law Reviewの要約によると、イリノイ州最高裁は1990年、タンポンとナプキンは州の「医療用品」の定義に当てはまるとして、シカゴ市の消費税から免除されるべきだと判断しました。これは、タンポン税反対派にとって短期間の勝利でした。州は消費税免除の対象の幅を狭め、女性の衛生用品は再び、課税されることになったのです。それから20年以上が経ち、いまもタンポンとナプキンの消費税についての論争は続いています。

Burkeの夫、Alderman Edward Burkeは、2月に、シカゴ市のこれらの商品に対する消費税の免除のための法案を提案しました。彼とAlderman Leslie Hairstonは、これらの商品を「身だしなみと衛生用品」から「医療用品」に再分類すべきだと言います。これらへの税の免除は、短期的に見れば財政的な喪失かもしれないが、長期的に見れば、女の子たちの成功に繋がるのだと、カリフォルニア州下院の民主党議員であるCristina Garciaは言います。Garciaのところに女の子たちがやってきて、衛生用品が高かったから学校に行くことができなかったと訴えたのです。中には、代わりに靴下を使った子もいました。Garciaは、1月、カリフォルニアで法案の共同提出者となり、州とローカル両方で、生理用品を保険にカバーされる医療必需品と分類しなおし、税を免除することを訴えています。「これは平等とアクセスの問題なのです」と彼女は言います。「こんな風にジェンダーによってバイアスのかけられた税なんて他にありません。」

 

非営利団体のThe National Coalition for Menは、この法案が男性もジェンダーに基づいて課税されないよう修正されるならばという条件付きでこの法案への支持を表明しました。男性の局部サポーターやコンドームが消費税免除の対象になれば、税のジェンダー平等達成の役に立つと彼らは考えているとのことです。