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feminism matters

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Melissa Harris-Perryのラウンド・テーブル:オバマ大統領の広島訪問に対する日系アメリカ人女性たちの反応

歴史

Melissa Harris-Perry Round Table: Japanese American Women Respond to Obama's Trip to Hiroshima

Melissa Harris-Perryのラウンド・テーブル:オバマ大統領の広島訪問に対する日系アメリカ人女性たちの反応

 

原文はこちら。http://www.elle.com/culture/career-politics/news/a36695/japanese-american-women-respond-to-the-presidents-visit-to-hiroshima/

 

2016/5/27

Melissa Harris-Perry

 

金曜日、オバマ大統領は現職の大統領として初めて広島を訪問しました。1945年の原爆のサバイバーと抱擁を交わし、核兵器のない世界を呼びかけました。しかし、原爆投下についての謝罪はしませんでした。

大統領の訪問に先立ち、日本にルーツをもつ数名のアメリカ人女性たちと話す機会がありました。オバマ大統領の広島訪問の前に、彼女たちの意見を聞きたいと思っていました。

サンフランシスコ州立大学のアジアン・アメリカン・スタディーズのアシスタント・プロフェッサーであるChristen Tsuyuko Sasaki、LAに住む作家、パフォーマー、そしてコミュニティ・オーガナイザーであるTraci Kato-Kiriyama、活動家、批判的人種理論家、そしてハワイ大学の法学の教授であるMari Matsudaに話を聞きました。

 

Melissa Harris-Perry: オバマ大統領が広島を訪問することを知り、喜びましたか?

Christen:日系4世で、広島の原爆で亡くなった先祖をもつ者として、大統領の初めての広島訪問にたくさんの期待を寄せています。大統領は2009年に「核のない世界」を作るための計画を発表しましたが、アメリカはいまだ核兵器をアップグレードするために、1兆ドルものお金をつぎ込んでいます。他の多くの人たちと同じく、この訪問が核兵器のない世界をつくる決意を強めることを期待します。また、この訪問が、アジアと太平洋地域のいたるところにアメリカ軍が駐留し続けている問題についての取り組みを加速させることを望みます。

Traci: 日系アメリカ人は、アメリカで何十年も反戦運動に関わってきました。若いころ、私は活動家たちのコミュニティで育てられ、その多くはリドレス運動(第二次世界大戦中、アメリカで暮らす日系人が強制収容所へ入れられたことへの倍賞を求める運動)に関わっていました。そういう人たちは、ブラック・パンサーや、ブラック・パワー運動にインスパイアされ、影響を受け、教えられていました。アジア系アメリカ人運動は、彼らの仕事の直接的な結果です。私たちの仕事はこのように交差しているのです。

 

MHP:そういった歴史の交差は十分には教えられておらず、一度忘れられてしまえば、連帯や組織化の基盤も失われてしまいます。

Christen:年長の世代は強制収容について語りたがりませんが、学生たちは非常に大きな興味と関心を持っています。日本人と日系アメリカ人の大量投獄はもう起こらないでしょうが、いまだにプロファイリングの対象となっている有色のコミュニティがあります。私は、強制収容という直視しがたい歴史を明らかにし、パラノイアと人種プロファイリングが万円した時どんなことが起こるのかを議論することで、若い世代がこの国のしていることについてより責任をもって考えるようになることを望みます。

 

MHP: その枠組は本当に重要ですね!強制収容を大量投獄と定義することで、これまで見えてこなかった、日系の強制収容と現在のブラック・ライブズ・マター運動が闘っているものとの繋がりが見えてきます。

Traci: 大統領の広島訪問について考えるとき、「慰安婦」であった祖母のことを考えます(日本軍のための性奴隷にさせられた女性)。私たちのコミュニティの中の戦争の遺産や、日系アメリカ人女性(Japanese- American womyn)として、市民権をもつ国と、先祖の国の両方の問題に取り組む大きな責任について考えます。そして、つながりの途切れてしまった遠い親戚のこと、彼ら彼女らもまた、私のようにこの分離を悲しんでいるのかということを。日系アメリカ人女性として(Japanese-American womyn)、日本政府があからさまに人種主義的・性差別的・ゼノフォビア的なことを言ったりやったりするたび、深く憤りを覚えます。日本が過去になしてきたことから目を背け、そういったことが年々増え、まかり通っています。ときに非常に腹立たしく、日本全体を軽蔑したくなりますが、日本の多くの素晴らしい人々や美しい面を考えるとそうもいきません。

 

MHP: Traci、もう少しその話を聞かせてもらえますか?

Traci: 分離、と言う言葉が最も適切だと思います。日本のことや「日系アメリカ人であること」を考えるとき、分離という言葉を思い出します。小学生だったころ、自分がどれだけアメリカ人であるかを説明するのに、自分がどれだけ日本の家族との繋がりをもっていないかを説明するのが役に立つのだと学びました。あまりにも大きな距離があること—そして若かった私は、それは白人のクラスメートと共通点を見つけるための良い方法だと思ったのです。ある意味、私はその距離に頼り、日系アメリカ人3世としてはそれは「普通のこと」だと思うようになりました。

これは、Nisei(第2世代、日本人の両親のもとに生まれた子ども)のやり方や考え方に呼応していました。二世はしばしば、自分たちの先祖のルーツや遺産から注意深く距離を取りました。1941年12月7日の後、私たちのコミュニティの多くの人たちが、父親やコミュニティのリーダーたちが家から連れて行かれ、強制収容所に入れられたのを目撃し、多くの人が即座にアメリカ人性を強く強調するようになりました。写真、遺品、個人的な芸術品、日本と直接関わりのあるものをなんでも捨て、燃やしました。多くが字義通りの意味で日本語を捨て、自分たちの子どもは英語だけを話すべきだと主張しました。私たちのコミュニティの多くは宗教も捨て、熱狂的にキリスト教を受け入れ、仏教や神道の実践や学びを断ち切りました。

でも、アメリカ史のこの時期の歴史やその影響について、知っているアメリカ人はほとんどいません。リドレスのための闘いについて知っている人はもっと少ないです。大統領の訪問が可能にするのは、そこではないでしょうか。おそらく、これまでのアメリカ大統領の誰も広島を訪れなかったのは、アメリカ人が戦争の副残物についての物語から、可能な限り距離を取りたかったからなのではないでしょうか。しかし、この訪問によって、日本で起きたこと、アメリカで起きたことについて話す事ができるようになります。人類に何が起こったのかを、より多くの人が知ることができるようになります。

 

Mari: おそらくそうでしょう。しかし、謝罪、賠償、そして過去の過ちを繰り返さないということができない、というのはアメリカが帝国である証であり、暴力と分離が私たちを苛み続けるであろうという兆候です。私たちがいつか、私たちが広島でやったことについて全面的に取り組むことができると信じます。きっと、私たちが中間航路[アフリカから奴隷たちが連れてこられた大西洋の航路]や先住民の虐殺についてちゃんと直面するのと同じ日に。それまで、少なくとも問いを発し続けることはできるでしょう。私の問いは以下です。

広島と長崎の原爆投下の決定において、冷戦の始まりはどんな影響を与えたか?なぜ広島や長崎で、沖縄の戦闘で、そして朝鮮戦争で、軍人ではない市民の死者が不釣り合いに多く出たのか?これに人種は関係しているのか?アメリカの人種主義、そして日本の人種主義—朝鮮人や沖縄の人を「他者」として植民地化のプロセスを推し進め、軍事主義と帝国主義を広めた—の両方が?こういった冷戦/帝国の歴史は朝鮮半島の分断や朝鮮戦争、沖縄の人々の意に反した沖縄の軍事化の継続とどのように交わるのか?これは、その影響を受けることになる人たちの自由な、そしてちゃんと情報を与えられたうえでの合意がなく進められているTPPや「アジア基軸」戦略とどう関係があるのか?沖縄系のアメリカ人として、私は大統領に、辺野古の新基地建設を止めるために闘っている沖縄の人たちの声を聞いて欲しいと切に願います。そして最後に、インターセクショナルなフェミニストとして、強姦、児童の売春を含む非自発的な売春が、アジアの米軍基地のいたるところで起こっていることを記しておきたいと思います。女性の身体を商品とすることは、帝国主義のプロジェクトの一部であり、冷戦時代もずっと続いてきました。

どうして広島のために謝罪する事ができないのでしょうか?こういったことへの責任を引き受けたくないからでしょう。

 

MHP:こういった問いを考え続けていきたいですね。皆さんの考えをシェアしてくれてありがとうございました。