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feminism matters

英語(とたまに韓国語)のクィア・フェミニズム系記事の翻訳の貯蔵庫。

「国民の創生」出演女優ガブリエル・ユニオン:ネイト・パーカーのレイプ疑惑を聞き流すことはできない

Op-Ed 'Birth of a Nation' actress Gabrielle Union: I cannot take Nate Parker rape allegations lightly

論説:「国民の創生」出演女優ガブリエル・ユニオン:ネイト・パーカーのレイプ疑惑を聞き流すことはできない

 

2016/9/2

Gabrielle Union

 

原文はこちら。http://www.latimes.com/opinion/op-ed/la-oe-union-nate-parker-birth-nation-rape-allegation-20160902-snap-story.html

 

24年前、私は当時働いていた靴屋の暗く寒いバックルームで銃をつきつけられ、レイプされました。2年前、「国民の創生」という素晴らしい脚本を受け取り、レイプされた女性を演じる契約にサインしました。1ヶ月前、ネイト・パーカーについての知らせを受け取りました。素晴らしく才能のある作家、監督、この映画のスター。17年前、ネイト・パーカーは性的暴行で訴えられ、無罪になったというのです。4年前、彼を告発した女性は自殺しました。

私たちの社会に染みこんで決して落ちることのない、残酷な「染み」の周りを、ぐるぐると回るいくつもの道。私自身の人生にも深く跡を残した「染み」。レイプは、回復した後もうずき続ける傷跡です。そのうずきは、ときにあまりにもうるさくなります。PTSDは全く冗談ではなく、性的暴行を生き延びた私たちの多くの魂と正気を削っていきます。

ネイト・パーカーの件を聞いてから、吐き気がするほど混乱しました。あの役を引き受けたのは、自分が似た経験を持っていたからでした。映画の間ずっと黙っているキャラクターに、声を与えたかったのです。沈黙している彼女は、かつて、そして今でも暴力を受けている数えきれないほど多くの黒人女性を表象しています。声と権力のない女性。全ての女性。でも、とりわけ黒人の女性を。映画の外に出て観客にサバイバーであることはどんなことか語りかけることができると思ったのでした。

性的暴行の被害者に対する共感は、自分でどうにかできるものではありません。選択というより、本能のように湧いて出るものです。その共感があるからこそ、人前から逃げたくなるときでも語ろうと思うのです。恐れている時でも。混乱し、恥を感じても。だから、聞いてくれる人がいるところなら、他のサバイバーのところであれ、潜在的な加害者のところであれ、足を運びます。

「国民の創生」が重要で画期的な映画であるからこそ、私はパーカーへの容疑を聞き流すことはできません。17年前のその夜、ネイトは彼女の合意を得ていたのか?彼の方は、合意を得たと思ったのかもしれません。しかし、彼自身も認めているように、口頭での合意は得ていませんでした。「いやだ」と彼女が言わなかったとしても、沈黙は「yes」と同じにはなりません。ボディ・ランゲージを正確に読み取ることが難しいことはありますが、「いやだ」といわないことを「yes」だと解釈するのは、控えめに言っても問題があり、最悪の場合有罪です。だからこそ、この問題についての教育が大事なのです。

聡明で、美しく、才能ある若い黒人の男の子たちを育てている黒人の女性として、彼らの未来に責任を感じます。夫と私は、[黒人である彼らは]白人の男の子たちよりもまっとうな道を歩む必要性を繰り返し説いてきました。心が痛むし腹立たしいことですが、この世界で生きていくためには必要なことだからです。マナーや教育、ドラッグの恐ろしさについて何時間も語ってきました。知らない人に付いて行ってはいけないとか、よく考えて選ぶ大切さも。でも最近、性の境界についても話さないといけないと気づきました。誰かにとっての脅威にならないということの意味を。

そのために、息子たちに「積極的合意」について教える努力をしています。パートナーが合意しているか、はっきり言葉にして尋ねる責任は彼らにあると教えます。そして、肩をすくめるとか微笑むとか、そういうサインでは不十分であると言います。「yes」という言葉を聞かないといけないと。

700ページに及ぶ裁判の書き起こしを読んだ私が、17年前に何が起こったか考えても、実際のところを知ることはできません。その部屋にいなかった人にはわかりません。でも、そういう場面が大学キャンパスで、寮の部屋で、フラタニティで、アパートで、その他若者が出会って交流するどんな場でも起こらないようにするため、この映画は教育の機会になると思います。

私はその役割を、性的暴行について語ることで果たしました。私たちの心に染み付いて離れない「染み」について。話すことが難しく、つらい話題であることは承知しています。でも、必要なことです。女性嫌悪や有毒な男性性、レイプカルチャーについて取り組むことは必要なことです。何が合意とみなされ、何がそうでないのか、という問題に取り組む事が必要です。

私が演じたキャラクターのように、沈黙を貫いているあらゆる被害者のことを考えてください。寮の部屋に座って、声を上げられないでいる少女を。夫に暴力を振るわれた妻を。路地で暴行を受けた女性を。虐待を受けた子どもを。トランスの人たちをターゲットにした攻撃によって破壊された数えきれないほどの心を。私が語るのはあなたたちのためです。これは本当なんです。私たちは実在しています。性的暴行は、人が想像するよりもずっとたくさん起きています。何よりも、この映画にまつわる話がそれを証明しています。

この件を、私たちが問題を直視するきっかけにしたいと思います。対話を始めるための。こういった犯罪が怒るのを防ぐために日夜活動している団体に繋がるための。被害者を支えるための。時間とお金を寄付するための。私たちの文化に蔓延している女性嫌悪を変える潮流を作るために積極的な役割を果たすための。そしていつか、「染み」を綺麗に拭い去るための。

 

Gabrielle Union is an actress.