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職場の性と力関係についての(私の)真実

A Truth (My Truth) About Sex and Power at Work

職場の性と力関係についての(私の)真実

 

2017/10/16

Martha S. Jones

 

原文はこちら。https://medium.com/@marthajones/a-truth-about-sex-and-power-in-the-workplace-my-truth-f8566895969b

 

最近の、ハーヴェイ・ワインスタインに対する容疑の中に、真実が見えます。「事実」ではなく、私達が経験から知っている「真実」です。もし私がロースクールの教室でこの話題を持ち出すとすれば、容疑が真実であることを証明しなくてはならない重みや、「合理的な疑い」、「証拠の優越」といった考え方について話さなくてはならないでしょう。家庭や友達の間で話す時は、女性たちが語るストーリーの中に埋め込まれているある種の真実について話すでしょう。

それは私の真実でもあります。

私が大学生だった頃、モリス氏(仮名)は毎週土曜に請求書や帳簿を整理する仕事をくれました。彼は家族経営の小さな印刷会社の社長で、事業が成功して人手不足でした。毎週末、印刷機の担当のスタッフは休んでいて、先週までの注文に対応するモリス氏と、オフィスを掃除したり数字をチェックしたりする私だけのフロアはとても静かでした。

授業と重ならない仕事をもらった私は感謝していました。モリス氏は、私が以前ボランティアをしていたソーシャルサービスの団体の印刷も担当していたので知り合いでした。おそらく私の父親より10以上年上の年配の男性でした。白髪交じりで、少し猫背で、優しい声で話す人でした。細いフレームの眼鏡越しに、暖かく微笑んでくれました。スタッフからも、顧客からも愛されている人のように見えました。私の勉強や家族のことも気にかけてくれ、私は彼を信頼していました。

だから、彼が一線を踏み越えた時、私は驚きました。不意の瞬間、モリス氏は手を伸ばし、散らかったテーブル越しに私を彼の方に引き寄せました。私が反応する前に、彼の舌が私の口の中にありました。私は押し返して、たぶん「やめて」と言いました。何にせよ、彼は穏やかさを取り戻して、頭を下げました。その日、その後何があったか思い出せません。おそらく、震えながら、仕事を終えて、給料を受け取って、家に帰ったと思います。

なんとか、起こったことを人に話しました。私にモリス氏を紹介してくれた女性たちのところに駆け込みました。恥を感じながら、言葉につまりながら、彼が何をしたか、来週末また職場に行くと思うと気が重いということを説明しました。「大したことないじゃない」と彼女たちは説得しようとしました。「害はないわよ」と。私にとっては非常に動揺させられた出来事を簡単に否定されたことに、傷つきました。

今ならわかります。私の母親と同世代の彼女たちは、いつもオフィスで、工場で、倉庫で、ホテルで、しばしば男性の上司のもと、働いてきた人たちでした。彼女たちにとって、職場でのジェンダーと権力のダイナミクスは、頻繁に、自分の望まない性的接触に繋がるものでした。体をまさぐられること、ハグされること、キスされることは、予想済みでした。彼女たちの教えは、出来る限り「受け流して、仕事に戻れ」でした。彼女たちは、社会に出ていこうとする段階の私に、同じように対応するよう教えようとしていたのです。

そして私もそうしました。

気分も悪く、ピリピリしながら、次の土曜にモリス氏の印刷会社に戻りました。その次の週も。私は新しい立ち振舞を身に着けました。「完全仕事モード。」笑顔も雑談もなし。職場から安全な距離をとること。なぜ職場に戻ったかって?確かに、私にはお金が必要でした。秋までに、私の奨学金は底をつきそうで、地下鉄の定期代を節約するために学校と寮の間の40ブロックを徒歩で通っていたぐらいでした。事態が変わったのは、クリスマスが近くなり、モリス氏がきらびやかな包装紙に包まれたプレゼントーウォークマン(1980年代のiPodのようなもの)ーを渡してきたときでした。私には手が出ない贅沢品でした。それでも、私は不潔だと感じ、プレゼントをゴミ箱に捨てて会社を後にし、二度と戻りませんでした。

私は1人ではないと理解するまでに、何年もかかりました。他の女性のストーリーから、どれだけ多くの女性達がモリス氏のような男性や、もっと酷い事態を経験し、生き延びているかを学びました。私達の間に、私達にはわかる真実があります。ジェンダーと地位・立場が職場で混ざりあった時、性的なからかいや強姦にまで至るスペクトラムへのドアは常に開いているのです。私達を互いに結びつけているのは、私達の仕事の内容や方法を、構造や地位を通じてコントロールする男性に対する、私達の立場の弱さです。彼らは私達の立場の弱さに、最大限つけ込んでくるのです。